
まるで小鹿のような愛くるしい容姿と、
バランスの良いボディが魅力のミニチュアピンシャーは
「
ミニピン」の愛称で親しまれています。
テリア気質が強いことから、小柄ながら大胆で恐れ知らず、
勇敢な面も持っています。
また、ミニチュアピンシャーは
優れた運動能力の持ち主であり、頭の良さも手伝って、
愛玩犬種で初めて訓練資格を取ったことでも知られています。
小型犬ながら、アジリティ競技の障害物レースで
活躍する子も多くみられます。
ミニチュアピンシャーのルーツについては諸説ありますが、一説には、
300年ほど前のドイツや北ヨーロッパで、ねずみ駆除を目的として飼われていた、
中型犬のヘル・ピンシェルが祖先だと言われています。
ヘル・ピンシェルと言えば、ドーベルマンの祖先としても知られており、このドーベルマンに
ミニチュアピンシャーがよく似ていることから、ドーベルマンの小型化と思われることも多々あります。
しかし、歴史としてはミニチュアピンシャーの方がずっと古い犬種なのです。
1895年に、ドイツで「ピンシャークラブ」が設立されてから、
この犬種の本格的な改良が行われるようになりました。
ミニチュアシュナウザー、ダックスフンド、イタリアン・グレーハウンド、
トイ・マンチェスター・テリアなどの犬種を交配させ、その後も小型化のための慎重な選択繁殖が
繰り返され、現在の洗練されたスタイルが出来上がったのです。
ミニチュアピンシャーの陽気で活動的な性格は、
交配に使われたそれぞれの犬種の気質によって作られていると言えますね。
ドイツでは「
レイ・ピンシェル(小鹿のようなテリア)」とも呼ばれていますが、
MPCA(アメリカのミニチュアピンシャーの公認団体)が発足した1929年に、
「
ミニチュアピンシャー」という正式名称が作られました。
ドイツやフランスでは、そのずば抜けたネズミ駆除の才能、また大胆で攻撃的な気質から、
集合住宅の番犬として大変重宝されたといいます。
ドッグショーにも出陣するなどして、本国ドイツでの人気を思うままにし、
空前のブームを巻き起こしていましたが、第一次世界大戦後には、
それまでの人気が一転、ほとんど注目されない犬種となり、
戦前に輸出されたそれぞれの国での発展に望みをかけるしかない状況となります。
アメリカでまずまずの知名度を上げていたミニチュアピンシャーは、
1900年のドッグショー初出陣をきっかけに、飛躍的に人気・知名度をあげるようになります。
そして1929年には認定を受けるまでになりました。
その後も着々と愛好家を増やしていたミニチュアピンシャーは、
とうとう「トイ・グループの王者」と呼ばれるまでになり、
現在も安定した人気を誇る犬種となっています。
日本では1960年代に初めて紹介され、小さなブームとなりました。
その後、しばらくはマイナー犬種扱いでしたが、じわじわと知名度を上げていき、
現在、登録数は、全犬種中10位前後と親しまれる犬種となっています。
特徴的なピンと立った耳と短い尾は断耳、
断尾で整形されています。
現在の日本では尾は生後まもなく、
ほとんどのブリーダーが断尾をしますが、
断耳については飼い主の判断に任せられています。
ドッグショーに出さないのであれば、
断耳、断尾をする必要はありません。
断耳や断尾は、あくまでもショーに出る時に
必要なものになりますので、家族の一員として飼うのであれば、
まったく必要ないからです。
また、ツヤのある被毛は彼らの魅力のひとつですが、
触ってみると意外と硬い毛質をしています。
これは猟犬時代、硬い被毛によって外気や傷から
体を守っていた名残なのです。
●ミニチュアピンシャーのスタンダード
犬のスタンダードとは、犬の純潔性を守るためその犬の理想の形態や気質などを細かく定めたものです。
多くのブリーダーたちは、そのスタンダードに記載されたミニチュアピンシャーを目指して、
日々努力を重ねています。
また、ドッグショーで活躍する犬達も、どれだけスタンダードに近いのかを競い合い、
一定の結果を出した犬がチャンピオン犬として認められます。
ここでは、JKC(ジャパンケネルクラブ)が定めるスタンダードから
ミニチュアピンシャーの特徴を、簡単にまとめてみたいと思います。
1. 体形
よく均整がとれて丈夫でよく引き締まり、短かめな胴と短毛をもつ、スクエアな(四角い)体型の小型犬です
2. サイズ(大きさ)
体高:オス・メスともに25~30cmが理想
体重:オス・メスともに4~6kg
3. コート(被毛)
少々硬めで、光沢のある滑らかな短毛が密生しています。
4. カラー(毛色)
(単色)
ディアー・レッド、レディッシュ・ブラウンからダーク・レッド・ブラウン
ブラック&タン:レッド又はブラウンの斑のあるラッカー・ブラック(黒漆色)。
斑はできるだけ濃く鮮明ではっきりとしているのが良い。
(斑は以下のように分布)
目の上、喉の下側、パスターン、足、後脚の内側及び尾の付け根下。
胸には 2つの規則正しい明確に分かれた三角形がある。
チョコレート&タン:タンの部分についてはブラック&タンに準じる。